2014年のこと。

 

イベント出店で繋がった、松井さん(画像手前)が山で駆除した鹿や猪の解体もやっていて、革の鞣し(なめし)もネットで調べて自分でやったよ。と聞き、革を扱う人間として、見てみたいとお願いしたところ、間も無くその時はやってきました。

 

現場に到着した時点で、すでに画像のような状態だったのですが、「やってみる?」とナイフを貸して頂き皮から肉を剥ぐ作業を体験させてもらいました。

 

肉もその場で炭焼きにして、みんなで食べたのですがその美味しかったこと。初めての体験でした。

 

 

トドメをさすところから見ていないとは言え、

ほんの少し前まで命があった生き物と対峙した時に、言葉でうまく表現ができないのですが、命の重みを実感として感じました。

 

 

この後、皮は鞣して「革」にして、頭部は肉が腐敗して落ちるのを待って、骨の標本?にしよう、と自宅へと持ち帰りました。

 

革のなめし方は、塩なめしと言って塩とミョウバンをまぶして1ヶ月ほど放置し、その後洗浄(洗剤でゴシゴシ)、加脂(何かの油をたくさん塗り込んだ)、揉み込んだり叩いたりして柔らかくするという極めてアナログな方法を採用しました。

 

皮は大きいサイズでもらったものの、前段階で綺麗に肉を剥がすのがとても難しく、半分くらいのサイズにして残りは断念。

 

頭部は水につけて腐らせるだけ。と聞いていたので大きなバケツに入れて置いてものの 空気の流れにくいガレージでの作業は、ことあるごとに独特の臭いに触れ、段々と精神的に辛くなってしまい、最終的には、断念することにしました。

 後々知ったのですが、土に埋める方法もあったようです。

 

この一連の体験は、自分自身の革への向き合い方を考え直させるには十分な衝撃がありました。

 

こんなこともできない自分が、皮を扱い、商品として提供する資格なんて無いのでは無いかと、随分落ち込んで仕事のできない時期がありました。

 

革を扱う、というのは命を扱うことなんだ。と言葉にしてしまえば当たり前なことを、ようやく自分ゴトとして理解できるきっかけとなりました。